マホウノマホニー
都内某所 PM11:00 喧騒の中にひっそりと佇む老舗のワインバー。
「こんばんは」
「いらっしゃい。今日は随分遅いね。いつもの席空いてるよ。」
「今日は何か入ってますか?」
「浮かない顔だね・・・。会社で、何かあったの?」
「ちょっと、失敗しちゃって・・・。上司に大目玉もらっちゃって。残業に手間取って、それでこの時間」
「そう。それは大変だったね。じゃあ、そんな時のとっておきの一杯・・・」
「ん~。いい香りですね。これ、どこのですか?」
「カリフォルニア」
「品種は?」
「当ててごらんなさい。」
「ん。この香りと味は・・・・。ひょっとしてピノ・ノワール」
「当たり!良くわかったねぇ。」
「ここ通い始めて、長いから。で、どこの造り手なの?」
「マホニー・ヴィンヤード。知ってる?」
「いえ。初めてですね。でも、いいですね。」
「だろ。スケールが大きい。」
「なんか、こう、癒されますね。」
「複雑なんだよ。ここのは。ピノなのに単一品種とは思えない。複雑であり繊細である。洗練されているけど、どこかワイルドさと大らかさを感じさせる。」
「カリフォルニアなのに、繊細ですね。酸味とのバランスもいい。」
「この"マホニー"はね。飲み手の心に合わせて、味わいを変えるんだ。まさに魔法だよ。」
「まさか」
「本当さ。君、さっき"癒される"って言ったろ?それは、このワインの優しさと大らかさを味わったからだと思うんだよねぇ。」
「そうか・・・。確かに。今度はしっかりした味がする(笑)」
「あれ。もう癒されちゃったの?」
「"おー。今日も一日、良くがんばったなって、ま。飲め飲め"って言われてる気がする」
「それは・・・。どうかな?君次第じゃない?(笑)」
「ね。ワインって自然と人が造るんですよね。」
「ああ。」
「このワイン造った人って、どんな人なんだろ。」
「オーナーのフランシス・マホニー氏は、カリフォルニアで「ピノの権威」と呼ばれる位、ピノをずっと愛し、研究し、知り尽くした人なんだ。しかも、とても家族思いの人でね。イタリア系の奥さんのためだけに、栽培の難しいイタリアの品種を作ってしまう人なんだ。「愛ある男」なんだよ」
「へ~。"愛ある魔法使い"か。詳しいですね。会った事あるんですか?」
「ああ。一度ね。握手した時の、彼の手は忘れないだろうな・・・。」
「へ~。いいな。一度会ってみたいな。」
「会えるよ。」
「え?」
「彼、今、日本に来てるよ。」
「本当ですか!いつですか?どこに行けば会えますか?」
「明日、渋谷西武に行って見るといい。」
「渋谷?」
「調度、今、渋谷の西武でワインの催事をやっていてね。地下にワインショップがあるんだが。これがまたワイン好きにはたまらない所なんだが、実はここが8周年で。記念企画として、このマホニー氏の講演があるんだよ。」
「へぇ~!で、何時からですか?」
「夜の、6時から。調度、仕事も終わるころだろ?」
「そうですね。今日で一段落したし。行って見ます!」
「人気生産者だから、一応、早めに電話して、予約した方がいいよ。」
「ありがとう。なんか、・・・運命的ですね!」
「人もワインも一期一会だからね。出会いのチャンスは大切にしないとね。」
「そうですね。じゃあ、今日はこれで。」
「明日、終わったら話聞かせに寄ってよ。」
「はい!また明日!」
渋谷西武7階催事場。明日午後6時。貴方にも、運命のワインと運命の造り手との出会いが待ってます。
自由が丘店
"今日は、ラジオドラマ風。でも少し長すぎですか?是非行ってみてください。思い出はプライスレス。こんな機会は滅多にないですよ?"
村松

